あの日
私達は出会った
偶然にも似た必然の下
奇跡のような確率の運命に
今までの常識を覆し
当たり前の日常を変化させた
新たな家族の誕生
強く優しいみんなのリーダー、シグナム
いつも元気で可愛いヴィータ
暖かくて穏やかなシャマル
いつも無口だけど真面目で頼りになるザフィーラ
私が生まれて9度目の誕生日に
私は再び一人じゃなくなった
色んな出来事があった冬を終え
春が訪れ、あっという間に過ぎていった
そして、私がみんなと出会ってから一年が経とうとしていた
魔法少女リリカルなのはA’s
八神はやて誕生及びヴォルケンリッター出会いの日祝い
YAGAMIマガジン投稿SS
『祝福の日』
<前編>
著:冴崎柏
「暇やな」
読みかけていた本に栞を挟んで閉じるとはやてはベットの上に寝転がった。
「……まだ二時か」
ちらっと時間を確認する。
「…………一人がこんなに暇やったなんて知らんかった」
はぁ、とため息を吐いて独り言を呟く。
今日は……というか今日も八神家にははやてしかいなかった。
最近の八神家にはヴォルケンリッターが家にいない日が多かった。
シグナムは先週から管理局の仕事があり、ようやく昨日の夜に帰ってきた。疲れも残っているから今日はゆっくり休むようはやてに言われたが、さっき出ていった。
シャマル達はそれほど管理局の仕事は忙しくないのだが、家でゆっくりしている時間が少ない。疲れてるのかここ最近寝坊も多い。
その理由が分かるはやては少々困ったように…それでいて嬉しげに呟く。
「別に無理せんでもええのに……」
携帯の画面に映る日付は6月3日。
明日ははやての誕生日。……そしてはやてが大切な騎士達と初めて会った日でもある。
はやてが皆にプレゼントを用意しているのと同じように、多分皆もはやてのために何かをしてくれているだというのはわかる。ただ、
「内緒…にしとるつもりなんやろうな」
はやてから見ればヴィータもシャマルも嘘が下手で隠し事をしていることがすぐに分かった。まあ、そこがまた可愛いとこでもあるのだが……
そんなわけではやては自分に秘密にしていることを追求せず知らないふりを続けていた。ただ、こう何日も一人でいる時間が多いと暇で仕方がないのも事実。平日の昼間ならなのは達……すずか、アリサ、フェイトらと学校で会えてはいるが、夜はそうもいかない。
「……で、今日はみんな用事があると」
用事が明日のはやてに関することなのか、また別のことなのかは分からないが、現在親しい友人でフリーな人間はいなかった。せっかくの土曜日にただこうしてボーっとしているというのも
「暇やな〜」
そう呟くとはやては時間を潰すために先程置いた小説に手を伸ばす。
〜♪〜♪〜♪
本を取る前に携帯が鳴り出し、はやては携帯を手に取る。画面に表示されたのは『時空管理局』
はやては少々緊張しながら電話に出る。
「……もしもし、八神はやてですけど」
『もしもし、はやてさん?』
「リンディ提督ですか?」
『ええ』
電話の相手がリンディだと分かるとはやてはほっとして肩の力を抜いた。
『はやてさん、今時間大丈夫かしら?』
「ええ、正直暇で暇でしょうがなかったくらいです」
『そう、なら丁度良いわ』
「? 何がですか?」
はやてが不思議そうに聞き返すとリンディははやてが想像してなかった……想像することが出来なかった事を言う。
『うちのクロノの相手をしてあげてほしいの』
「…………………………え?」
それがどういった意味なのかが分からずはやての思考が少し、止まる。
『あ、先に言っておくけど別に管理局の人間としてのお願いじゃなくて、フェイトとクロノの母……はやてさん側的に言うと友達の親としてのお願いだから無理だったら無理で良いの』
だから別に『提督』なんてつけなくていいわ、とリンディが言う。
クロノくんか……
考えてみればはやてはクロノとあまり一緒にいたことがない。シグナムやシャマルは本局で会う機会があるがはやては局務めをしてないし、クロノもこっちの世界の家に帰ることも少ないから当然と言えば当然なのだが。
「で、でも、クロノくんの相手って、私は何をしたらいいんです?」
はやてが聞くとリンディは笑って
『別に何でもいいのよ』
(ですからそれがよく分かんないんですけど……)
口には出さず、心の中で呟く。
『本当は今日、クロノは休日だったんだけど、する事が無いからってアースラに来て資料の整理を始めちゃって……』
そう言ってリンディがため息を付く。
「あーでも、凄い納得です」
その行動は皆から聞くクロノのイメージ通りだった。真面目だが…真面目すぎるから暇な時に何をしたらいいか分からないタイプの人間、というイメージがはやてにはあった。そして、それは間違ってもない。
『別に駄目な訳じゃないんだけど……たまの休みにすることが無いっていうか、することが見つからないっていうのは年頃の少年としては間違っていると思うの』
リンディは再度ため息をつき、
『それでね、もしはやてさんが良かったらクロノの相手をしてあげてくれるかしら』
「まぁ、私は特に問題は無いんですけど……私なんかでいいんですか?」
はやてからすれば自分よりもなのはやフェイトの方が適任だと思えた。
『大丈夫よ、はやてさんならうちのクロノじゃ勿体ないくらいよ』
「あはは、そんな事ないですよ。……でもまあ、私も暇なのでお相手させてもらいます」
はやてとしてもクロノには皆が一緒にいられるようにしてくれた事に対するお礼をまだ言ってない事がずっと気がかりだった。だからこそこの機会にお礼を言おうと思ったのだ。……それにリンディに告げた台詞も嘘ではないから。
「そんなら私はどうしたらいいんですか?」
『そうねぇ…クロノをそっちに帰した後迎えに行かせるから家で待っててもらえるかしら?』
「いえ、別にそんな気を使わなくても」
『大丈夫よ』
「は?」
何が大丈夫なんやろ?
そう疑問に思うはやてを気にせず、リンディは
『もう届くと思うから』
「え?」
届く、ってまさか……
はやてがそう考えた時、
ピンポーン♪
玄関のチャイムが鳴った。
『あら、流石に高速転送しただけあって早かったわね』
どこか感心した感じのリンディの声。
つまり、クロノはリンディに強制転送させられた。ということはやては理解した。
『じゃあ、後はよろしく頼むわね、はやてさん♪』
プツ…ツーツーツー……
「…………」
色々と突っ込みたいこともあったが、はやてはとりあえず下に降りることにした。いつまでもクロノを外で待たせるわけにもいけないだろう。
そう考え、はやてはやや急ぎ気味に車椅子に乗った。
ガチャ
玄関のドアを開けるとクロノが目を閉じて壁によしかかっていた。
……くしゃくしゃになった髪の毛や所々が汚れているのを見ると本当に無理矢理転送させられたことが分かる。
黙って壁によしかかる姿からもの凄く機嫌の悪さが伺えた。……というか強制的に転送させられれば機嫌が悪いのは当たり前か
「……えっと…その……こんにちは」
はやては不機嫌オーラ全快のクロノにちょっと遠慮気味に挨拶をする。
「ああ」
とだけ呟いてクロノは閉じていた目を開けてはやての方を向いた。
「すまないな、艦長の我が儘に付き合わせてし…ま……って…………」
そして、不意に固まった。
「?」
はやてはクロノが固まった理由が分からず、不思議そうにクロノを見た。熱でもあるのか顔が真っ赤だという事だけは分かった。
「な、な、な、なななんて格好でいるんだ! き、ききみは!?」
「へ?」
クロノに言われはやては自分の格好を見る。
とりあえず上着は薄手のパーカー。少し寒かったから着てきた。
……でも、私は何で寒かったんやろ? 6月のじめじめした雨の日に……
確かに今日は皆いないし、微妙に暑くて湿度も高かったから楽な格好をしていた。とりあえず出る予定も無かった。だから少々はしたないけど…………
「〜〜〜っ!!」
自分の姿を思い出したはやてはパーカーを思いっきり伸ばしてスカートを掃き忘れていた下半身をできるだけ隠す。それでもクロノの位置からでは完全に隠れきれていないのだが……
「ううぅ〜……」
恥ずかしさからうめき声を上げるはやて。着ているパーカーが自分のお気に入りだということも忘れていた。
(めっちゃ恥ずかしい。もう、消えてしまいたい……)
「す、すまない」
視線を明後日の方向に向けてクロノが謝る。
「と、とりあえず着替えてくるから……」
「あ、ああ……」
──バタン
「はぁ〜」
ドアを閉めるとはやては大きくため息を付いた。
「あかん……」
着替えに行かないと…、とは思うものの今のはやてには車椅子を動かす気力が無かった。
「……見られてもうた」
熱い頬を両手で押さえながら呟く。
正直ショックだった。見られてしまった恥ずかしさもさることながら、クロノにいつもこんな格好をしている女の子だと思われていたら……もし、クロノに軽蔑されるかも、と考えると凄く泣きたくなる。
はやてから見てクロノを好き、嫌いの部類で言えば間違いなく好きの部類に入る人だ。魔導師としての強さもさることながら、性格も真面目で誠実で責任感もある。今はまだ可愛い感じの顔立ちだが数年も待たずに身長が伸び、声変わりもするだろう。そうなるとクロノは間違いなく美形と呼べる好青年になるだろう。
(って、何を考えてるんや私は)
ぶんぶん、と頭を振って冷静になろうとするがどうしてもはやての頭からクロノの顔が離れなかった。
(あかん、このままやとまともにクロノくんの顔が見れそうにない……)
そんな風に思った時、玄関のドアをクロノがノックする。
「……はやて、まだそこにいるのか?」
「え、あ、うん…ごめんな、すぐ履いてくるから」
ドア越しに聞こえるクロノの声にドキッとしながら慌てて移動しようするが、
「いや、いい」
「え?」
いい、と言われはやては動きを止める。
「こんな状態で一緒にいても互いに気を使ってしまいそうだし、そうなると僕としては申し訳ない」
「え、じゃあ帰ってしまうん?」
ああ、とクロノが答える。
「そっか……」
はやてとしては少々残念だが、今顔を合わせると間違いなく意識してしまう。
「じゃあ、僕は行くから」
そう言って立ち去ろうとするクロノをはやてが呼び止める。
「ちょ、待ってクロノくん」
「何だ?」
「外…雨降ってるでしょ。クロノくん傘持ってるん?」
外の雨は家の中からでもかなり降っているのが分かる。そしてクロノは先程リンディに強制的にここに送られてきたのだから……
「ないんなら傘貸そうか?」
「いや、問題ない。こっからなら十分走って帰れる」
「そんな…クロノくん、風邪引いてしまうよ」
「大丈夫、そんなにやわじゃない」
「……でも」
「別にそこまで気を使わなくてもいいから」
「う、ごめん…迷惑やったか?」
「そ、そんなことはない。はやての気持ちには十分に感謝している。ただ……」
そこでクロノ口籠もる。
「……ただ?」
「…た、ただ……僕だって…その……今は頭を冷やしたい気分でもあるから……」
クロノの台詞を聞いてはやての頬が再び熱くなる。
「え、あ…その……それって……」
「と、とにかく僕はもう行くからな」
「ちょ…クロノくん!?」
はやてが名前を呼ぶよりも先にばしゃばしゃと水溜まりを跳ねる音が聞こえ、徐々に遠ざかっていく。音が聞こえなくなり、クロノがいなくなったことを理解するとはやてはゆっくりと自分の部屋へと戻った。
とりあえず、今と同じ様なことがないようにとスカートを履き、車椅子から降りると脱力したままはやてはベットの上に寝転がった。
「なんや…疲れてしもうた」
クロノといた時間は5分にも満たないはずなのに身体にきている疲労感はかなりのものだ。
今あった恥ずかしい出来事を忘れたいという気持ちと最近睡眠時間が少なかった事もあって、はやては簡単に眠りの世界に落ちていった。
…………………
…………
……
…
「……ん」
目を覚ますと外は暗く、空には淡い光りを放つ月が今、夜であることを教えてくれた。はやては時計を覗くと
「11時40分……」
普段なら眠りについている時間だ。このまま朝まで眠っても良かったのだが、はやてはあえて起き上がった。
寝起きということもあり少々ゆっくりとした動きでベットから車椅子へ移動する。ボーっとする頭ではやては脱衣所まで向かい、洗面台で顔を洗って意識をすっきりさせる。
「ふぅ、すっきりした」
冷たい水で顔を何度か洗い、タオルで顔を拭き終わる頃にははやての意識は十分に回復した。
はやては携帯を取り出して時間を確認すると
「丁度いい、時間やな」
そう呟いてリビングへと向かった。
リビングのドアを開けるとそこには皆がいた。珍しくヴィータもこんな時間まで起きている。
「はやて!」
「はやてちゃん!」
ヴィータとシャマルがほぼ同時に声を上げ、立ち上がる。声や表情から不安を感じられる。だからこそ、はやてはいつもと同じように明るい声で、
「ごめんな、夕ご飯の準備とかしないでこんな時間まで寝てて」
「いえ、それよりもどこか体調が悪かったのですか? 主はやて」
口調こそいつもと同じだがシグナムも……そしてその隣に座っているザフィーラもはやての事を心配しているのが分かる。
「どこも悪くないよ、ただ暇過ぎてついうっかり寝てしまっただけやから」
「……その、すみません」
「何でシグナムが謝るん?」
「いえ、それはその……」
「別にいいんや」
「ですが……」
「シグナムは何も悪い事してないんやろ?」
「はい、それは間違いなく」
「なら謝らんでいい」
はやてに笑顔で言われシグナムは大人しく…はい、と頷いた。
「ところで、みんな晩ご飯とかどうしたんや? シャマルがしてくれたん?」
「はい、はやてちゃんほど上手くできませんでしたけど、とりあえず私が作りました」
「そっか…ありがとな、シャマル」
はやてはそう言って微笑む。時計を見て、針が12時を過ぎていることを確認すると皆を自分の近くに呼び寄せる。
「みんなこっちに来てな」
「今日でみんなが我が家の一員になってからもう一年やね」
「はやて、憶えててくれたの?」
聞き返してくるヴィータにはやては笑顔で答える。
「当然や、大切な家族の誕生日を忘れるマスターなんて何処にもおらんて」
「誕生…日? あたし達の?」
はやてに言われ目を丸くしながらヴィータが問いかける。
「そうや」
違うか? と今度は逆にはやてがヴィータに問う。
「で、でも…今日ははやての……」
「別に同じ日に誕生日を迎えてもええと思うよ」
「……うん」
「それともヴィータは私と違う日の方が良かった?」
はやてに言われてヴィータは慌てて否定する。
「そんなことない! はやてと同じ日の方がすげー嬉しい。ホントにホントだよ」
「ほんまか?」
「もちろん!」
そう言って満面の笑みで笑うヴィータの頭をはやては優しく撫でる。
「えへへ」
ヴィータの幸せそうな顔を暫く見た後、はやては三人に向き合う。
「みんなは…シグナム、シャマル、ザフィーラも問題ないか?」
「非常嬉しく思います」
「私もはやてちゃんと一緒だとすごく嬉しいです」
「肯定です」
むろん、否定する者など誰もいない。いるはずがない。
「そっか、なら6月4日は私の誕生日でもあり、みんなの誕生日や。……そしてみんなと出会った大切な日や」
一呼吸置いてはやては皆に向き合って笑顔で告げる。
「みんな……誕生日おめでとう。そしてこれからもよろしくな♪」
シグナムが
「はい」
ヴィータが
「うん!」
シャマルが
「ええ」
ザフィーラが
「御意に」
各々の言葉で頷く。
「じゃあ、今日はご馳走沢山作らなあかんね、シャマル手伝ってくれるか?」
「あ…はやてちゃん、実は……」
「ん? なんや、シャマル?」
不思議がるはやてにシャマルは困った表情でシグナムに聞く。
「ねえ、シグナム…言ってもいいのかな?」
「まあ、この場合は仕方がないだろう」
「別に今になったら隠す必要ねーだろ」
「何や? 何の話をしとるん?」
「えっとですね、実は明日の夕方から翠屋さんを貸し切ってはやてちゃんのお誕生日パーティーを開くんです」
「ええっ! それホンマか? シャマル!?」
翠屋は高町家が経営する喫茶店で、中でも翠屋特製シュークリームは県外から買いに来る人がいるぐらい有名で美味しく、はやてのお気に入りの店でもある。
「凄い嬉しいんやけど申し訳……ってあかんあかん、ここは素直に喜ばな失礼やな」
はやてがそう言うとシグナムはええ、と頷き
「そうしてもらえると我々としてもとても嬉しいです」
「うん、じゃあ遠慮なく楽しむことにするな」
「では今日のことは決まりましたし、今晩はそろそろ寝ましょうか。夜更かしは体に悪いですし」
シャマルに言われ、はやても頷く。
「そやね」
「はやて、はやて。今日ははやてと一緒に寝てもいい?」
はやての服の裾を掴みながらヴィータが上目遣いではやてに聞いてくる。
「なんやヴィータは甘えん坊さんやな」
「うっ…駄目なの?」
「そんなわけないやろ。一緒に寝ような♪」
「うん!」
「じゃあ、着替えておいでヴィータ」
「わかった、ちょっと待っててはやて」
ヴィータは頷くと元気良く走っていった。
「ヴィータちゃん元気ね」
「そうやな、それにヴィータと一緒に寝るのは何か久々やし、私も楽しみや」
「それだったら私もはやてちゃんと一緒に寝たいな〜」
「あはは♪ なら明日は一緒に寝よか?」
「はい」
「そーいや明日ってどんくらいの人が来るん?」
「はやてちゃんの学校の親しい友達とお世話になってる管理局関係の方々だから……大体20人くらいかな」
「ほぇ〜結構多いんやね」
「そうなんですか?」
「まあ、私も家族以外で誕生日パーティーなんてしたこと無いから分かんないだけやけどね」
「でも大勢いた方が賑やかで楽しいと思いますよ」
「あはは、それは同感や」
「はやて、お待たせ」
「じゃあ、部屋に行こうかヴィータ」
「うん」
「じゃあお休みな、シャマル」
「はい、お休みなさい。はやてちゃん、ヴィータちゃん」
「お休み〜」
就寝前の挨拶を終え、はやてはヴィータと共にベットの潜り込んだ。
「ふんふふんふーん♪」
「何やヴィータえらいご機嫌やな」
「だってはやてと寝るとすっげー久々だしさ」
そう言ってヴィータがはやてをギュッと抱きしめる。
「ふふ、そんな風に言われると私も嬉しいな」
はやても拒まずにヴィータの髪を優しく撫でる。
「ホント?」
「うん、ヴィータが元気やと私も元気が出てくるし」
「えへへ、それに明日の晩ご飯はすっげーご馳走確定だもん」
「確かにそうやね」
「クロノとエイミィも来るから花見の時の焼きそば作ってくれねぇかな〜」
「え?」
「ん? どーしたはやて?」
「ううん、何でもあらへんよ」
「そっか…すっげー楽しみだなー」
「なら、早く寝ようか」
「うん、お休みはやて」
「はい、お休みヴィータ」
会話はそこで終わり、ヴィータはあっという間に眠ったが、はやてはその後眠ることは出来なかった。
むろんそれは昼間から寝ていたためではなく……
(あかん…完全に思い出してしもた…………眠れそうにない)
それに
(明日クロノくんと会ったらどんな顔をすればええんや……)
どれだけ考えても答えは出なかった
ちなみにハラオウン家では一晩中クロノの部屋に電気がついており、来週までに本部に送るはずの資料が朝には完成していたりした…………
続く
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
あとがき
はやて、誕生日おめでとー!! ヴォルケンリッター最高ー!! YAGAMIマガジン万歳ー!! 誰かシャマルを私にくださーい!! もしくはフェイト!! 桃子さんでも可!! リニスも有り!! むしろ全キャ──
○
く|)へ
〉 ガッ
_,,..-―'"⌒"~ ̄"~⌒゙゙"'''ョ ヾ○シ
゙~,,,....-=-‐√"゙゙T"~ ̄Y"゙=ミ ヘ/ >>
T | l,_,,/\ ,,/l崖 | ノ
,.-r '"l\,,j / |/ L,,,/ ↑
,,/|,/\,/ _,|\_,i_,,,/ / 冴崎
_V\ ,,/\,| ,,∧,,|_/
すいません。調子に乗ってました。
どうも、初めまして、今日は。しょうもない物書きの冴崎柏というものです。
まずはすいません。自分なりに頑張りましたが前編までしか書き上げられませんでした。自分が情けないです。はい。頑張って後編もなるべく早く書き上げるよう努力します。
私が『リリカルなのは』にはまった理由は原作に当たる『とらいあんぐるハート』シリーズが好きだからで、おそらく『とらハ』をしていなかったら地方では見られない<魔法少女>ものは見なかったかと思います。
そのため、当初は『とらハ』のオマージュとして見ていたのですが、気が付けば『とらハ』のオマージュではなく『リリカルなのは』という作品自体にはまっていました。本当に一期もA’sも個人的に最高に面白かったです。ですので第三期があることを切実に願っています。
そして、YAGAMIマガジンのような企画が増えてより多くの人と交流が持てたらな……と思います。
ちなみにこれは一応クロノ×はやてです。クロノの出番が全然無いですが……w
リアル友人で同人仲間で同じくYAGAMIマガジンの参加しているツキノワグマ三世と8月の終わりに大阪である『こみっくトレジャー』にクロノ×はやて本を出すことを決めたのでこのYAGAMIマガジンでもクロノ×はやてを書いてみようと決めました。
ただ、私が住んでいる石川はちょうど関東関西の境目に当たる位置で言語が微妙に変な地域(らしい)です。そんなわけではやての関西弁が合っているだろうか正直不安です。過去に大阪に住んでいた友達に駄目出しくらった経験もありますし…………(汗)
なにはともあれ、自分の好きな『なのは』を多くの人と語れる機会、その作品を見ることの出来るYAGAMIマガジンという企画を立ち上げてくれた月咬氏に本当に感謝しています。有り難うございます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
おまけ
当初はギャグも有りかと思ってこんなの考えてました
「はやて、はやて。今日ははやてと一緒に寝てもいい?」
はやての服の裾を掴みながらヴィータが上目遣いではやてに聞いてくる。
「なんやヴィータは甘えん坊さんやな」
「うっ…駄目なの?」
「そんなわけないやろ。一緒に寝ような♪」
「うん!」
「じゃあ、着替えておいでヴィータ」
「わかった、ちょっと待っててはやて」
ヴィータは頷くと元気良く走っていった。
「あの…はやてちゃん」
ヴィータがリビングからいなくなると不意にシャマルが少し不安げにはやてを呼んだ。
「何や、シャマル?」
「ちょっと言いにくいことなんだけど……」
「何や?」
「ううん、やっぱり何でもないです……」
「シャマル……そんな風に言われたら逆に気になってしまうやろ。気にせんと言ってみて」
シャマルはそうですか、と頷くと真剣な顔ではやてに問う。
「最近…クロノ執務官と何か…あった?」
「ふぇっ!!」
予想もしなかった質問にはやてが動揺した声をあげる。そして、忘れていた昼間の出来事も思い出してしまった。
「……あの、夕方はやてちゃんの部屋に行った時に寝言で何度か『クロノくん』って言ってましたし……」
「あ、あははは……別に何もあらへんよ」
「……ホントですか?」
ジト目で聞かれ、つい目線を逸らしてしまった。
「ホント、ホント何にもあらへんて」
「顔が真っ赤ですよ」
「ほ、ほら今日は何か暑いし……」
6月でも夜は割と冷える。現にはやての上着は長袖。
「……はやてちゃん!」
真剣な声でシャマルがはやてを呼ぶ。
「はい!」
「クロノ執務官に何をされたんですか? 脅されたんですか? 苛められたんですか? ま、まさか……性的な意味で襲われたなんて事はないですよね!?」
冗談など一切無い声と表情ではやてに詰め寄るシャマル。
「ない、ない。クロノくんがそんな人間じゃないことぐらい分かってるやろ?」
「で、でも……はやてちゃんは凄く可愛いですし……クロノ執務官だって一応、若い男性ですから欲望のままに…とか……」
「ちょ、シャマル落ち着いて! そんな事されてたら流石に私もこんな風に平然としてられるわけないやろ?」
「……でも、頬を赤らめる様な事があったんですね」
「うっ……」
(なんや今日のシャマルは妙に鋭いな)
突然、後ろからシグナムがはやてに声をかける。
「主はやて。すみませんが外出の許可を頂きたいのですが」
「外出ってこんな夜中にどこに…いく……ん……」
振り向いてシグナムを見たはやてが固まる。
「って、ちょお待って、何で完全武装しとるんや、シグナム!?」
はやての後ろにいたシグナムは先程までの私服ではなく、騎士甲冑を身に纏って右手にはレヴァンティンを携えていた。
「少しばかりハラオウン執務官とお話に」
「待ってシグナム。何かシャマル同様もの凄い勘違いしてない?」
「いえ、勘違いなどしているとはおもってませんが」
レヴァンティンにカートリッジを挿入しながらシグナムはきっぱりと告げる。
「いや、絶対勘違いしてるから……」
「はやて」
シグナムの後ろから聞こえるヴィータの声。
「あ、ヴィータ。ちょっとシグナムを止……」
前に出てきたヴィータを見て再度はやてが固まる。
「あたしもちょっと掃除してから寝るから先にベットで寝てて」
そう言うヴィータも寝間着ではなく騎士甲冑を纏い、グラーフアイゼンを手に持っている。
「何でヴィータまで勘違いしてんの!?」
「二人ともカートリッジ足りてる?」
そう言ってシャマルがテーブルが山盛りになるほどの……おそらく予備の全てをカートリッジを置く。
「シャマル!?」
「すまない」
「あんがと」
そう言ってごっそりとカートリッジ掴むシグナムとヴィータ。
「ってザフィーラは何処? みんなを止めて!」
「ザフィーラでしたらすでに外で人型状態で待機してます」
「ちょお待って!」
「では、行ってきます主」
「いや、行ったらあかん!」
「先に寝ててはやて」
「寝れるか!」
「大丈夫です、ばれないようにしますから」
「そーいう問題やないって……」
一時間後、とあるマンションが突如崩壊したという報道が流れたとか…流れなかったとか……
終わり